喜びの道をひらく 天の言霊の道
- 著者:北川 達也
- 出版:コボル
- 発行:2024年4月1日
- 価格:1,500円+税
- 頁数:144ページ
- 評者:百瀬 裕
- 編集:スピりんく 編集部
スピリチュアルブログ版ダイジェスト
《古今東西の宗教・思想のエッセンスが詰め込まれた奥深いメッセージ》
『祈り方が9割』、『ブッダの獅子吼』などの著書で知られる、北川 達也氏によるエッセイ集です。エッセイと言っても、身の回りのできごとを面白おかしく書いたものではなく、古今東西の宗教や思想の知恵から著者が学んだことを、ささやくような文体で教えてくれる「メッセージ集」のような本です。小難しい専門用語は使わず、非常にわかりやすい言葉で綴られています。行間にゆとりもたっぷりあるため、スラスラと読めてしまうのですが、実は深くて濃い「喜びに満ちた人生を生きるコツ」が記されています。神道や仏教を学問的に学び、会社経営にも成功している著者の人生体験があるせいか、どの章も心に染み入るような説得力があります。
《願望実現、孤独やトラウマ解消、平和まで、多様な悩みに応える》
ベースとなる考え方は、宗教や思想の垣根を越えた「世の元の大神」という存在がおり、私たちはその宇宙の内側に存在しているということ。そして、「うれしい」「楽しい」「面白い」「おいしい」「幸せ」「有りがとう」という、「喜びの言葉」が、自分や自分が接する人達の中に溢れてくるようになれば、どんな人でも「喜びの道」をひらいたり進んだりできるということです。これだけ聞くと、「言葉は簡単かもしれないけど、抽象的で難しそう!」という印象を受けるかもしれませんね。しかし、抽象的ゆえに、それぞれが身の回りの状況と重ねながら、自分なりに解釈できる「含み」があるように感じました。多くの人が解決したいと願う人生の課題、たとえば願望実現や、孤独・トラウマなど苦しみの解消、さらには世界平和まで、各章ごとに向き合い方のヒントが記されているので、今具体的に何か悩みがあるという人は、該当する章から読むなどの使い方もできそうです。
《「不名誉な言葉」を「名誉ある内なる言葉」に書き換えるワーク》
その中から今回は、「第四の扉 嫌な思いを解消する」の一節をご紹介します。日々の中で、主に権威者や師匠、親などが放つ「不名誉な言葉」に、喜びを抑圧されて、心が傷つくことがありますよね。それらの言葉は、むやみに受容したり、真に受けないのが一番です。さらに、「不名誉な言葉」が自分自身にある場合があります。そんな時に有効なワークとして、たとえば、以下のような「不名誉な言葉」→「名誉ある内なる言葉」への置き換え例が紹介されています。
・落ち着きがない→落ち着きがある
・できるわけがない→ ・自分ならできる
・仕事ができない→・仕事ができる
・食べられなくなる→・食べていける
・魂の階層が低い→・魂の階層などはない
・罰がくだされる→・罰などはない
このワークで、「不名誉な言葉」に傷つけられた心を「名誉ある内なる言葉」で癒し、喜びを取り戻すことができます。
《苦しい修行でなく、日常的な実践で「楽な道」を生きて幸せになれる!》
この本には、この他にもワークが数多く紹介されています。それのどれもが、「喜びの言葉」をベースとした、通勤電車や家事の合間、コーヒーブレイクなどに気軽に実践できるものばかり。巻末に「喜びの道への毎日習慣メソッド」として逆引きインデックスもついているなど、日々の生活に取り入れやすいようになっています。特別な道具や、苦しい修行はむしろ必要なく「喜びの道は、苦しむことがなく、楽に歩める道」「楽に歩んでいくと、多くの気づきや学びが得られる」と著者は言います。全体的に、優しさとおおらかさに溢れており、さまざまな人の人生を応援してくれる普遍的な一冊だと感じました。
目次
- 第一の扉 喜びが満ちる神の国
- 第二の扉 喜びを呼び寄せる
- 第三の扉 喜びの人生をおくる
- 第四の扉 嫌な思いを解消する
- 第五の扉 心の自由を取り戻す
- 第六の扉 夢や目標を定める
- 第七の扉 慈愛の心を起こす
- 第八の扉 慈愛の心を実践する
- 第九の扉 神に祈りをささげる
- 第十の扉 喜びの道をひらく
一言コメント
著者には、神道や仏教の専門家というイメージを持っていたため、もくじの「参考資料 イエス・キリストの言葉」に、最初は混乱しました。しかし読むほどに、自分自身が学んだり体験したことから、みんなに生きるヒントを伝えたいと、記したものなのでは、と納得しました。人間をあるがままに肯定してくれるおおらかさに、安心できました。
注目の文章ピックアップ
・神の国は、ただただ、喜びに満ちあふれている。
・人の命は、この世も、あの世も、生き通し。この世と、あの世は等しい世界。
・最初に、手放したい嫌な記憶がよみがえってきたとき、それに負けずに喜びの呼吸法を実行する。
・さらに、ふとしたときによみがえってきてしまう嫌な記憶に対して「有がとう」と心の中で連呼し、感謝の言葉でラベリングする方法もある。
・一人ぼっちという気持ちに心の自由が奪われないようにするためには、自分自身の意識が作り出す分断の意識の壁をなくし、さまざまなものと一体となることが必要といえる。
・夢や目標をもつことは、私たちの日常の心の状態を神の国に住んでいるような心の状態にしてくれる。これが、私たちの生きるための原動力ともなる。
・愛に義務感が伴うのなら、それは、愛とはいえない。愛は、喜びによって生きる。喜びのない愛は、愛とはいえない。
・ときに、電車での移動中や家事、仕事の合間などで、手を合わせなくても、目をつぶり、心の中で、神様へ、感謝の祈りと、愛情の祈りをささげよう。祈りとは、どこでも、場所を選ばないで行えるもの。
・私たちの毎日を喜びのいいサイクルで過ごすことこそ、喜びの道を大きく開いていくための秘けつといえます。